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症例No |
005 |
診断 |
陳旧性膵炎(過去の膵炎像) |
種類 |
猫 |
年齢 |
2 |
診療科目 |
消化器科 |
症状 |
5日前から毎日嘔吐。食欲はあるが食後1〜2時間で嘔吐。点滴と吐気止めの注射を打つと調子がよいのだが、嘔吐がまた始まる。 |
検査 |
腹部超音波検査、血液検査 |
結果 |
膵炎の指標であるfPL(猫膵特異的リパーゼ)は2.7μg/L(参考基準値<3.6)。腹部超音波検査では、肝臓尾側に軽度の腹水の貯留、膵臓周囲脂肪組織のエコーレベル上昇と膵臓の腫大が確認された。その他の血液検査結果、超音波検査結果は異常なし。 |
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担当医コメント |
急性膵炎の場合、激烈な嘔吐を繰り返し、食欲廃絶と重度脱水となり緊急を要する病態となりえます。今回は、対症療法に反応があり一過性の消化器症状かと思われましたが、飼い主様へ念のための検査をお勧めしました。検査は、腹部超音波検査によって、膵炎を示唆する所見(腹水貯留・膵臓腫大)が得られたことから、血液検査も追加で行いました。しかし、血液検査結果からは急性膵炎を示す数値は得られませんでした。このことは、超音波検査上の膵炎の存在と血液検査上の膵炎の否定といった矛盾する結果となり、診断に苦慮しました。治療は対症療法ですが、胃酸分泌の抑制、低脂肪食への変更のみを指示しましたところ、以降、完全には嘔吐は消失しないものの頻度は低下し、順調に経過しているとのことです。今後、必要があれば上部消化管内視鏡検査が確定診断には妥当な検査と考えられます。 |
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