NOTA |
(★)(自由は人間の本質なのかーー本書は、ある意味では、なぜ、人間はその本質を自由によって特徴づけようとするのか、というゲルツェンの問いに、私なりに答えを与えようとする試みでもある。[中略] しかし、その問いについて考えてみる前に、私は、今日、われわれの目の前で展開されている「自由」にかかわる光景をいくつか見ておこうと思う。人間の本質は自由である、人間は自由でなければならない、というゲルツェンの言い方が、われわれをどのような時点にまで連れてきているのかを確かめておきたい。われわれは、今日、社会的な意味を帯びた何かをなそうとしたとき、ほとんどそれを「自由」に結び付けて論じなければ、気がすまないようにさえ見える。そして、その中で、「自由」の意味は混乱し衰弱している。私がここで問題にしてみたいのは、「自由」をめぐるこうした状況なのである。[本書より]) |